第63回交通安全国民運動中央大会が、1月17日(火)、18日(水)の両日、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷と新宿区立新宿文化センターにおいて開催されました。
交通事故防止と交通安全に係わる各分野の関係者が一堂に会し、安全で快適な交通社会の実現を目指して、より一層強力な国民運動の推進を誓う本大会は、昭和36年から開催しているもので、今年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響もあり、3年ぶりの開催となりました。(主催=全日本交通安全協会・警察庁 後援=内閣府・文部科学省・国土交通省)
川村隆 全日本交通安全協会会長のあいさつ
初日、1月17日の分科集会には全国から約160人が参加して、講師による基調講演の後、「地域・家庭・教育部会」と「企業部会」に分かれて、交通安全対策についての意見発表が行われました。
基調講演では、はじめに、大妻女子大学人間関係学部教授 尾久裕紀先生が「メンタルヘルスと交通安全」と題して、続いて、三重県交通遺児を励ます会会長(公益財団法人交通遺児育英会評議員)安田厚子先生が「尊い命の教訓『ハンドルの重みは命の重み』」と題して講演が行われました。
尾久裕紀先生
安田厚子先生
地域・家庭・教育部会には、交通安全協会役職員、地域交通安全活動推進委員、交通安全母の会役職員等約80人が出席し、「地域社会における交通安全活動の推進方策及び家庭・学校における交通安全教育(主として幼児、小学生、中学生、高校生、高齢者に対するもの)」を主要議題に、代表3人による意見発表が行われ、その後、警察庁、内閣府、文部科学省の担当者による指導助言が行われました。
茨城県 神戸礼子さん (茨城県交通安全母の会連合会 会長)
心に手土産を~世代間交流事業を通して~
石川県 横山明香さん (馬場交通少年団 団長)
地域に密着した交通安全活動の推進
愛媛県 山本基二さん (新居浜市立東中学校 校長)
「地域とともに うぐいす運動を通して」交通ボランティア
企業部会には、企業の経営者や安全運転管理者等をはじめ安全運転管理者協議会の役職員など約80人が出席し、「企業における交通安全教育、交通安全活動の推進方策(主として飲酒運転防止対策)」を主要議題に、代表3人による意見発表が行われ、警察庁、国土交通省の担当者による指導助言が行われました。
宮城県 三塚亜紀男さん (岩ヶ崎電器工業株式会社 代表取締役)
交通事故防止と地域活動への参画
大阪府 前池康雄さん (ダイキン工業株式会社 淀川製作所 安全運転管理者)
当製作所の交通安全への取組みについて
福岡県 南一郎さん (ライオン株式会社 福岡オフィス総務室長)
当社の安全運転教育と取組事例
二日目(18日)、新宿区立新宿文化センターで開催された本会議は、秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、来賓をはじめ交通栄誉章等受賞者及び都道府県交通安全協会の関係者など1,100人が出席して行われました。
午後3時、川村隆全日本交通安全協会会長の先導により秋篠宮皇嗣同妃両殿下が御臨席になり、国歌演奏、交通事故犠牲者に対する追悼の黙とうに続いて、川村会長が「近年、交通事故は減少傾向にあるとはいえ、今もなお多くの尊い命が犠牲になっている。全日本交通安全協会としては、これからもなお皆様方とともに、様々な交通安全諸対策を全力で推進してまいります。」とのあいさつの後、秋篠宮皇嗣殿下からおことばを賜りました。
おことばを述べられる秋篠宮皇嗣殿下
本日、第63回交通安全国民運動中央大会が3年ぶりに開催され、皆様と共に出席できましたことを誠に喜ばしく思います。
そして、このたび、日頃の交通安全運動への貢献により表彰を受けられます方々に心からお祝いを申し上げます。
昨年、交通事故による死亡者は2,610人で、1948年の統計開始以来、最も少ない人数を6年連続で更新しております。このことは、全日本交通安全協会をはじめ、交通安全に関わっている多くの方々の長年にわたるたゆみない努力の賜物と申せましょう。
しかしながら、いまだに年間2,000 人以上もの尊い命が失われ、30万件以上もの交通事故が発生し、そのことによって多くの人々が辛い思いをしています。その中には、高齢者が関係する交通事故も多く発生しており、また、飲酒運転や妨害運転いわゆる「あおり運転」など、悪質で危険な運転も問題となっております。
私たちが普段利用する道路上には、日々多くの人や車が往来しており、路上の交通事故は、誰にでも起こり得ることです。一人一人が、交通事故を起こさないよう自覚を持ち、交通道徳を高め、それを実践することが肝要であると考えます。そして、運転者や歩行者がそれぞれ、相手の立場に配慮し、思いやりのある行動をとることが求められております。
その意味からも、本大会は、関係者が一堂に会して交通安全に関わる諸問題を話し合う大切な機会であり、大変意義深いことと考えます。
おわりに、本日の受賞者をはじめ、全国の津々浦々で日々交通事故防止に取り組んでおられる皆様のご尽力に深く敬意を表するとともに、交通事故のない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、交通安全運動がさらに進むことを祈念し、大会に寄せる言葉といたします。
次に、岸田文雄内閣総理大臣、細田博之衆議院議長、長浜博行参議院副議長、谷公一国家公安委員会委員長からご祝辞をいただきました。
岸田文雄内閣総理大臣の祝辞
細田博之衆議院議長の祝辞
長浜博行参議院副議長の祝辞
谷公一国家公安委員会委員長の祝辞
本年の交通栄誉賞の受賞者は、交通栄誉章「緑十字金章」受賞者は153名(交通安全功労者・優良安全運転管理者121名、優良運転者32名)、交通栄誉章「緑十字銀章」受賞者は595名(交通安全功労者・優良安全運転管理者400名、優良運転者195名)でした。
表彰式では、交通栄誉章「緑十字金章」は受賞者を代表して青森県の栁谷章二さんと鳥取県の市橋光東さんに、交通栄誉章「緑十字銀章」は受賞者を代表して長崎県の池田陽子さんと兵庫県の市橋薫さんに、それぞれ露木康浩警察庁長官から表彰状が贈られた。また、金章・銀章受賞者の配偶者には、全日本交通安全協会会長から感謝状が贈られました。
露木康浩警察庁長官から受賞者に表彰状を授与
緑十字金章を受賞する青森県の
栁谷章二さん
緑十字金章を受賞する鳥取県の
市橋光東さん
緑十字銀章を受賞する長崎県の
池田陽子さん
緑十字銀章を受賞する兵庫県の
市橋薫さん
優良団体36団体、優良事業所87事業所、優良学校45校、優良交通安全協会58協会、優良安全運転管理者協議会45協議会、を代表して宮城県の仙台市立生出小学校(石垣恵校長)に全日本交通安全協会の川村隆会長から表彰状が送られました。
川村隆全日本交通安全協会会長から仙台市立生出小学校(石垣恵校長)に表彰状を授与
長年交通安全に寄与している次の交通安全協力企業に対し感謝状が贈られました。
表彰式では、4社を代表して株式会社みずほフィナンシャルグループ(執行役 猪俣尚志)に対し川村会長から感謝状が贈呈されました。
4社は、長年にわたり全国の新小学一年生に「黄色いワッペン」を贈呈する事業を実施しています。
「黄色いワッペン」贈呈事業は、愛するわが子を交通事故で失った母親が、交通事故の撲滅を訴えた手紙が新聞に掲載されたことがきっかけとなって始められました。子供たちが「黄色いワッペン」を身につけることで交通安全に関心を持ち、保護者やドライバーに「注意喚起」することで、子供たちの交通事故防止に役立ちたいとの願いが込められています。同事業は昨年までに59回を数え、これまでの贈呈枚数は累計で7千万枚にのぼり、子供たちの交通事故防止に多大の貢献をしています。
川村隆全日本交通安全協会会長から交通安全協力企業(代表 (株)みずほフィナンシャルグループ
(執行役 猪俣尚志さん))への感謝状の贈呈
令和5年使用の交通安全年間スローガンと交通安全ファミリー作文コンクールの最優秀入選者に対する表彰が行われ、交通安全年間スローガンでは群馬県前橋市立勝山小学校1年の田子惺琉さんに、交通安全ファミリー作文コンクールでは岡山県岡山市立岡山中央中学校2年の渡邊陽和さんに、岸田文雄内閣総理大臣から賞状が贈られました。
交通安全年間スローガン 内閣総理大臣賞を受賞する田子惺琉さん
交通安全ファミリー作文コンクール 内閣総理大臣賞を受賞する渡邊陽和さん
最後に、竹島和幸全日本交通安全協会副会長(福岡県交通安全協会会長)が「大会宣言」を声高らかに朗読して大会は終了しました。
大会宣言の朗読