第65回交通安全国民運動中央大会が、1月14日、15日の両日、東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷と文京区の文京シビックホールで開催された。
交通事故防止と交通安全に係わる各分野の関係者が一堂に会し、安全で快適な交通社会の実現を目指して、より一層強力な国民運動の推進を誓う本大会は、昭和36年から開催されているものである。(主催=全日本交通安全協会・警察庁 後援=内閣府・文部科学省・国土交通省)
川村隆 全日本交通安全協会会長のあいさつ
初日の分科集会には全国から約200人が参加して、講師による基調講演の後、「地域・家庭・交通安全教育部会」「企業部会」の2部会が開かれて交通安全対策についての意見発表が行われた。
基調講演では、はじめに、川崎医療福祉大学 名誉教授 金光義弘先生が「高齢者の安全運転寿命を延伸するために~アイフレイルの問題を中心に~」と題して講演を行った。続いて、警察庁 交通局交通企画課 牧丈二交通安全企画官が「令和6年道路交通法改正等について」と題して、石川県 穴水町立穴水中学校 校長 廣澤孝俊先生が「3つの『あい』で取組む交通安全啓発活動~穴水町の交通安全意識を高めるために~」と題して講演を行った。
金光義弘先生
牧丈二交通安全企画官
廣澤孝俊先生
地域・家庭・交通安全教育部会には、交通安全協会役職員、地域交通安全活動推進委員、交通安全母の会役職員等約110人が出席した。
「地域社会における交通安全活動の推進方策及び家庭・学校における交通安全教育(主として歩行者と自転車に関するもの)」を主要議題に、代表3組による発表が行われ、警察庁と内閣府、文部科学省の担当者による指導助言が行われた。
企業部会には、企業の経営者や安全運転管理者等をはじめ安全運転管理者協議会の役職員など約90人が出席した。
「企業における交通安全教育、交通安全活動の推進方策(主として健康管理と飲酒運転などの危険運転根絶対策)」を主要議題に、代表3人による発表が行われ、警察庁と国土交通省の担当者による指導助言が行われた。
二日目、東京都文京区の文京シビックホール大ホールで開催された本会議は、秋篠宮皇嗣同妃両殿下の御臨席を仰ぎ、来賓をはじめ交通栄誉章受賞者及び各都道府県交通安全協会の関係者など約1,800人が出席した。
午後2時、川村隆全日本交通安全協会会長の先導により秋篠宮皇嗣同妃両殿下が御臨席になり、本会議が開催された。
国歌演奏、交通事故犠牲者に対する追悼の黙とうに続いて、川村会長による「近年、交通事故発生件数、負傷者数は、いずれも減少傾向にあるが、交通事故死者に占める高齢者の割合が高い水準となっているほか、次世代を担うこどものかけがえのない命が犠牲となる痛ましい事故が後を絶たない。全日本交通安全協会としては、様々な交通安全諸対策を全力で推進する」とのあいさつの後、秋篠宮皇嗣殿下からおことばを賜った。
おことばを述べられる秋篠宮皇嗣殿下
第65回交通安全国民運動中央大会が開催されますことを誠に喜ばしく思います。
そして、日頃からの交通安全活動への貢献により、本日表彰を受けられる方々に心からお慶びを申し上げます。
近年の交通事故による死亡者数を見ますと、ピーク時の1970年と比べ、6分の1以下になっております。このことは、交通安全に関わっている多くの方々の長年にわたるたゆみないご努力の賜物と申せましょう。
しかしながら、昨年、交通事故で亡くなった人の数は、2,663人で、その前年より15人減少したものの、いまだに年間2,000人以上の尊い命が失われています。また、交通事故により、約34万人が負傷しており、多くの人々が生活をする上で困難があったり、悲しい思いをしたりしています。そして、高齢者が関係する事故や、飲酒運転など悪質で危険な運転も問題になっております。
私たちが利用している道路では、日々多くの人や車が往来しており、路上の交通事故は、何時でも、何処ででも、誰にでも起こり得ます。
一人ひとりが、生命の尊さと交通事故の重大性を深く心にとどめ、運転者が自覚を持つのはもちろんのこと、歩行者も事故に遭わないように気をつけることが大切です。そして交通道徳を高め、これらを確実に実践することが肝要でありましょう。
その上で、何よりも、運転者や歩行者それぞれが、相手の立場に配慮し、思いやりのある行動をとることが求められていると考えます。
その意味からも、各地で活動され、豊かな知識と経験をお持ちの皆様が、このように一堂に会し、交通安全についての諸施策を協議されることは、誠に意義深いことであります。
おわりに、本日の受賞者をはじめ、全国津々浦々で交通事故防止に取り組んでおられる皆様のご尽力に深く敬意を表します。そして、交通事故のない安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、交通安全運動がさらに進むことを祈念し、大会に寄せる言葉といたします。
次に、石破茂内閣総理大臣、額賀福志郎衆議院議長、関口昌一参議院議長及び坂井学国家公安委員会委員長から祝辞をいただいた。
石破茂内閣総理大臣の祝辞
額賀福志郎衆議院議長の祝辞
関口昌一参議院議長の祝辞
坂井学国家公安委員会委員長の祝辞
交通栄誉章の表彰が行われ、緑十字金章受賞者153名(交通安全功労者・優良安全運転管理者119名、優良運転者34名)、緑十字銀章受賞者589名(交通安全功労者・優良安全運転管理者400名、優良運転者189名)を代表して、「緑十字金章」は宮城県の鎌田宏さんと神奈川県の渡邊要さんに、また、「緑十字銀章」は大分県の古谷和美さんと奈良県の清水登さんに、それぞれ露木康浩警察庁長官から表彰状が贈られた。また、金章・銀章受賞者の配偶者には、全日本交通安全協会会長から感謝状が贈られた。
露木康浩警察庁長官から受賞者に表彰状を授与
緑十字金章を受賞する宮城県の
鎌田宏さん
緑十字金章を受賞する神奈川県の
渡邊要さん
緑十字銀章を受賞する大分県の
古谷和美さん
緑十字銀章を受賞する奈良県の
清水登さん
優良団体36団体、優良事業所82事業所、優良学校40学校、優良交通安全協会59協会、優良安全運転管理者協議会47協議会を代表して、石川県の穴水町立穴水中学校(廣澤孝俊校長、生徒代表の中山采香さん)に対し、全日本交通安全協会の川村隆会長から表彰状と記念品の目録が贈られた。
川村隆全日本交通安全協会会長から石川県穴水町立穴水中学校(廣澤孝俊校長、生徒代表の中山采香さん)に表彰状と記念品の目録を授与
令和7年使用の交通安全年間スローガンと令和6年度交通安全ファミリー作文コンクールの最優秀入選者に対する表彰が行われ、交通安全年間スローガンの部では神奈川県居住の白百合学園高等学校2年の小尾文乃さんに、交通安全ファミリー作文コンクールの部では千葉県我孫子市立我孫子第四小学校3年の永野太凰さんに、石破茂内閣総理大臣から賞状が贈られた。小尾さんと永野さんには、作品に関するインタビューも行われた。
交通安全年間スローガン 内閣総理大臣賞を受賞する小尾文乃さん
交通安全ファミリー作文コンクール 内閣総理大臣賞を受賞する永野太凰さん
最後に、銭高善雄全日本交通安全協会副会長(大阪府交通安全協会会長)が「大会宣言」を声高らかに朗読し、大会は終了した。
大会宣言の朗読